西澤保彥--人格転移の殺人

人格転移の殺人

入れ替わりのストーリーはけして新しくない。若い男女のお互いの体が入れ替わって、争いながら恋を落ちていくのはこのような物語のテッパンとも言えるパターン。最近話題になってる映画「君の名は」もこういうパターンを使った。一つの秘密を共有して、二人一緒に頑張ってきていろんな難関を乗り越えた後で自分の体に帰っても、入れ替った者同士他人扱いできない。正直言って、こんなパターンは嫌いじゃないむしろ好きだ。でも、このパターンに新しい発想を練り込んだらいいなと思う。

この物語は二人だけじゃなくて、六人の入れ替わりのストーリーになっている。この数人はある事情で入れ替わりのマシンを入って、ある法則に従って一つずれて順番に入れ替わって行く。

婚約者に振られたばかりの日本人のサラリーマン、驚異の美貌を持っているが売れないブリティッシュ女優、思春期の黒人の店員さん、めっちゃ日本人嫌いでいつも喧嘩を売るの白人のおっさん、かっこいいが背が低いアラビア人。そして日本語が話せるフランス人と初めてのデートの相手の若い日本人女性も登場する。

二人だけの場合とは違う、迷わず他の人を傷付けるは可能だ（相手の体は必ず自分の体ではない）。最初は赤の他人なのに、いったいどんな憎みがあって連続殺人事件まで発展するの？いつから殺意が芽生えるの？

読んでる時は、進展が早すぎて、登場人物が多すぎてだいたい状況が分からないまま一つの殺人事件が終わった。

ほかには心理学の弁論もある、しかも何十ページも続けている。入れ替わる流れは、人格を実体化して交換するなの？あるいは実体化は要らなくて形而上的に交換するの？あるいは単純に脳に錯覚を与えるの？難しい内容だけど、考えさせられるテーマだ！（実際入れ替わりは起こらないから考えなくてもいいのに、笑）

前は同じ作家西澤保彦の七回死んだ男を読んだ。、この本と同じくらい面白かった。特別な世界である法則を守って生きていく登場人物達の中で不思議な殺人事件が起きる。新しい設定のおかげで、内容は常識と推理小説の枠を超えて斬新な発想だった。本当におすすめだ。

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　　　　　　　　　　　　　　　　ネタバレの部分



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宇宙人が残した、わが人類手に負えない施設は夫婦のために設置したの？夫婦のお互いの認識を深めるためにそんなめんどくさい施設を発明したの？最後の最後までを読んだら、思わず「ふさげるな」と叫んでしまった。でも入れ替わりの物語ってよく考えれば、そもそもラブストーリーじゃないか？この結末はそんなにおかしくないだろう？笑

入れ替わりを止める方法は、二人の間に第三者が入っているだけで済む。夫婦の間の第三者は、赤ちゃんだ。

小説の中では、このマシンは入ってくる人数によって、人格転移を行う。例えば、６人が入ったら６人の入れ替わりが起きるとういう事だ。

っていうか、宇宙人は同性婚等のいろいろな家族の在り方を応援することになるかな？実に面白かった！